財政健全化法に基づく指標は、標準財政規模を分母とした指標で新しく作られたものですが、従来から自治体が示している財政指標もたくさんあります。ここでは、それら財政の状況を示す指標をみてみます。




財政指標

1.経常収支比率


〇経常収支比率
 ・経常一般財源等のうちの、経常経費充当一般財源等の比率。
 ・この割合が高いと(90%以上)、財政は弾力性を欠くと評価される。

〇経常一般財源
 ・毎年きちんと一定額が入ってくる、自治体の裁量で自由に使える財源。
 ・財源のうち、使途が決まっている特定財源と臨時的な一般財源を除いたもの。
 ・住民税や固定資産税などの普通税と地方交付税や地方譲与税などのこと。

〇経常経費充当一般財源
 ・職員の給与等の人件費や、高齢者や障害者に対する扶助費など、毎年必ず支出しなければならない経
  常経費にあてる一般財源のこと。
 ・人件費は一般財源の比率が高いが、扶助費は低い。この理由は、扶助費には国から財源が国庫負担金
  等として入ってくるからである。



 近年95%台を推移してきた横須賀市の経常収支比率は、100%台を超える状況となっています。毎年決まって必要な経費分しか財源がないということですから、新しいことに投資したり、将来のための積み立てを行うなどの余裕がない、ということを示しています。


1-2.経常一般財源等比率



 経常一般財源等比率は、経常的に収入される一般財源等がどれほどあるか、歳入構造の弾力性を示す指標です。経常一般財源/標準財政規模×100で表されます。


 この数値が100を超える度合いが高いほど、経常一般財源等に余裕があり、歳入構造に弾力性があるということになります。本市においては、100を下回る数字となっています。


2.公債費比率



 
 公債費比率は、公債費に充てられる一般財源額の標準財政規模に占める割合で示されます。10%を超えないことが好ましいとされています。本市においては平成28年度から上昇傾向にありましたが、令和2年度には若干減少しています。


2-2.公債費負担比率


 もう一つ公債費に関する財政指標として、公債費負担比率というものがあります。これは、公債費に充当された一般財源が、一般財源総額に対してどの程度の割合になっているかを示す指標です。

 この比率が高い程、公債費が一般財源の使途を制約しているということになります。


3.起債制限比率


 市税収入のように自由に使うことのできる収入のうち、公債費(借入金の返済)にあてる割合を示しています。つまり、地方自治体が自力で返済をする能力を表す指標です。平成17年度まではこの数字が29%を超えると、一部起債(借入れ)が制限されました。(*横須賀市HP)

 ただしこの指標が起債の制限に使われていたのは平成17年度までで、現在は、起債の制限には実質公債費比率が使われています。


4.積立金現在高


 積立金には、次の三種類があります。

①財調(財政調整基金)
 財政運営上、財源不足を補うために活用される、「やりくり」のための貯金。

②減債(減債基金)
 市債の償還を計画的に行うための資金を積み立てる目的で設けられる基金。

③特定目的(特定目的基金)
 ①②以外の、「庁舎建設」「緑地保全」といった、ある特定の目的のために積み立てている基金。



 平成14年度をピークに、19年度まで減少しています。平成20年度以降は、未利用地の売却や時限的な職員の給与言減給措置など、臨時的な基金増加の要因がありました。
 平成14年度は252億円でしたから、現在はおよそ半分に減っている状況です。


5.地方債現在高


 地方債=市債は、大きく分けて次の二つがあります。

①通常債
 施設整備(道路、学校、公園等)を行う場合など、一時的に多額の資金を必要とする場合に借り入れる市債で、翌年以降、対象施設の耐用年数に応じて分割返済していくものです。これは、整備された施設から受けるサービスは将来の市民にも提供されることから、現在の市民からだけでなく将来の市民からも応分に負担してもらい、世代間の税負担を公平にしていこうという考え方によるものです。

②臨時財政対策債
 本来、国から自治体へ地方交付税として再分配されるべきものが、国の財源不足により全てを現金で配分できないため、その不足額をいったん自治体が借り入れて、資金不足を補うものです。翌年度以降、国が地方交付税に上乗せして補填する仕組みになっていますが、将来にわたり補填があるかどうか、懸念が生じています。



 平成17年度をピークに減少傾向にありましたが、 25年度から再び増加傾向に転じています。通常債は減少していますが、臨時財政対策債が増加しているため、合計すると増加となっています。令和2年度には、約1,862億円と過去最大となっています。


6.債務負担行為額


 「債務負担行為」とは、次年度以降に支出を約束した債務です。通常、自治体の予算はその年度内で執行されますが、情報機器や土地・建物の賃貸借など、複数年度にわたり支出を予定しているものがあります。これらはあらかじめ予算に内容を定めておきます。ただ、これは内容を明らかにしているだけで、当該年度に後年度分まで予算化するわけではありません。次年度の予算で次年度の分を予算化することをくり返していきます。



 平成19年度以降、債務負担行為が増加しているのがわかります。債務負担行為は、次年度以降の予算の内容をしばるものですから、その分、予算は硬直化していくことになります。

参考文献
・「横須賀市財政基本計画」
・「市町村財政分析」自治体研究社
データ
・「決算状況」(横須賀市HP)