子どもに関する条例のうち、もう一つの種類として子ども・子育て支援に関する条例があります。この条例は、子ども・子育て支援に関す自治体の基本理念を述べたものになってます。これらの条例は、その多くが子ども・子育て支援に関する総合計画を自治体が作ることを規定しています。

 一方、国においても、次世代育成支援対策推進法や子ども・子育て支援法があり、この法律において、市町村は事業計画を策定することができる、あるいは事業計画を策定する、と定められています。そこで多くの自治体では、条例に規定した総合計画を、国が規定した計画ににあてることを行っています。

 子ども・子育て支援に関する条例は、子ども・子育て支援に関する法律と密接な関係があるため、ここではこの二つの法律について概観します。

 さらに、横須賀市における国が規定した計画である「横須賀子ども未来プラン」についてもみてみます。すると、本市においても、これら国のプランを市としてどのような方向に向けて進めていくのか、という方針の必要性が必要だということが明らかになると思われます。

1.次世代育成支援対策推進法(平成15年7月16日) 

 次世代育成支援対策推進法においては、第8条において市町村行動計画を策定することができる、とされています。法律の条文はわかりづらいので、私なりにわかりやすく言い換えてみます。

第8条 市町村は、5年間の行動計画を、次の内容で作りなさい。なお、計画策定に際しては、実施時期及び目標を定めなさい。

  1. 地域における子育ての支援(保育所の受け入れ拡大や児童館などの児童の居場所づくりなど)
  2. 母親と乳幼児の健康の確保と増進(乳幼児健診をとおした相談の実施など)
  3. 子どもの心身の健やかな成長のための教育環境の整備(学校の環境整備や有害環境対策など)
  4. 子育てを支援する生活環境の整備(ファミリー向け良質賃貸住宅の供給や犯罪被害にあわないための安心なまちづくりなど)
  5. 職業生活と家庭生活との両立の推進(働き方の見直しや仕事と子育ての両立支援のための体制整備など)
  6. 子ども等の安全の確保(交通事故から子どもを守るなど)
  7. 要保護児童への対応などきめ細かな取組(虐待防止や障害児施策の充実)


2.子ども・子育て支援法(平成24年8月22日)


 子ども・子育て支援法においては、第61条において、 市町村子ども・子育て支援事業計画を定める、とされています。内容の概要は次のようなものです。

第61条 市町村は、5年間の計画(市町村子ども・子育て支援事業計画)で次の事項を定めなさい。(3~5は定めるよう努めなさい。)

  1. 教育と保育を整備する基礎単位である「教育・保育提供区域」を定める。
  2. この「区域」ごとに、幼稚園等を必要とする子どもの数と、その定員をどうやって確保するか。
  3. 産休後・育休後に、いかに円滑に幼稚園等の利用を確保するか。
  4. 保護を要する子どもや障害児の保護に関し、都道府県とどう連携するか。
  5. 労働者の職業生活と家庭生活の両立を図るために必要な雇用環境の整備とどう連携するか。


 子ども・子育て支援法の中心は、1と2にあるように、幼稚園・保育園・認定こども園等の利用に関するものですが、4や5をみると、次世代育成支援対策推進法の内容と同一になっていて、関連があることがわかります。

3.横須賀子ども未来プラン(平成27年2月)


 これらの法律を受けて、横須賀市で策定している計画が「横須賀子ども未来プラン」です。横須賀市では、次世代育成支援対策推進法に基づいた計画が、次のように作られてきました。

平成17年度~21年度「横須賀子育ち支援計画実施計画」

平成22年度~26年度「よこすか次世代育成プラン」

 平成24年度から「子ども・子育て関連三法」が成立したことを受け、「横須賀子ども未来プラン」はこれら二本の法律を受けて策定された、平成27年度から31年度までの5年間の計画という位置づけになります。「横須賀子ども未来プラン」の「プランの基本理念・目的」では、プランの位置づけが次のように述べられています。

「横須賀子ども未来プラン」は、子ども・子育て支援法第61条第1項に基づく「市町村子ども・子育て支援事業計画」に位置付けられます。・・・また、平成26年4月に次世代育成支援対策推進法の10年間の延長等を内容とする法律が公布されたことかあら、子ども・子育て支援法が規定する「市町村子ども・子育て支援事業計画」の内容にとどまらず、次世代育成支援対策推進法に基づく市町村行動計画及び「よこすか青少年プラン」にあった青少年に関する施策も盛り込み策定してます。さらに、障害児等、子どもに関連するほかの計画と連携し、整合を図りながら推進します。


 このように、「横須賀子ども未来プラン」は、本市の子ども・子育て支援に関する中心的な計画である、ということがわかります。本市の子ども・子育て支援に関しては、このプランを中心に議論していくことになるでしょう。

 しかしこのプランは、あくまでも国の法律を受けて、子どもたちの健やかな成長を支える社会の実現を目的としたものです。ここに欠けているのは、子どもたちを「どこへ向けて」成長させるのか、という方向性です。この方向性は、国が示すものではありません。もちろん日本国としては、教育の目的が次のように示されています。

教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。(教育基本法第一条)


 しかしこれは国家による教育の一般方針ですから、各自治体は、それぞれにその自治体に応じた子育ての方針を示す必要があると思われます。ここに、子育てに関する条例の必要性の根拠があるでしょう。

参考文献
・次世代育成支援対策推進法
・子ども・子育て支援法