教育が目指すもの








 教育の基盤にあるものは、地域社会に生きるすべての子どもたちを地域社会の中で包み込み育てていくということです。子どもたちは子どもたちの集団活動の中で育っていきます。私たち大人の役割は、子どもたちのそうした集団を用意することにあります。

 こうした集団の中には、様々なタイプの子どもたちがいます。年齢・性別の違いや性格の違いに加え、障害の有無による違い、あるいは不登校の子どもや外国につながりのある子どもの存在。一人ひとり異なる個性を持つ子どもたちがお互いに相手を理解し尊重することにより、子どもたちは成長していきます。この基盤は、やがて共生社会の基盤となっていくでしょう。


 人は言葉によって思考し、言葉によって自己を制御することを学んでいきます。心から言葉を発し相手に伝えることの全体が言語活動です。子どもたちは日常生活において手話を含めた話しことばを学んだ後、学校生活の中で科学的概念を学んでゆき、書き言葉を成熟させていきます。言語の学習は、思考を深めると同時にコミュニケーションの質を高めていきます。言語は人間が人間たるゆえんである大切なものです。


 一般に道徳というと、噓をつかないとか老人を大切にするなどの行為を指すと考えられています。もちろんそのことも大切な道徳の一つです。しかしそれだけではありません。道徳とは、人が利己的な自己を超え、社会の一員として相互に支えあう社会人であることを自覚することです。それは人が人としての普遍性を獲得することを意味します。学校生活でいえば、様々な集団活動の中で仲間を意識することだけでなく、国語や社会・数学・理科などの教科において社会的事象や自然科学を学んで身につけることも、人間としての普遍性に向かう大切な学習であり道徳の基礎となるものなのです。